大腸内視鏡検査は、大腸がんやポリープの早期発見に欠かせない大切な検査です。しかし「痛いのでは?」「恥ずかしいのでは?」「検査中に苦しくなるのでは?」といった不安から、なかなか受ける勇気が出ない方も少なくありません。
そんな検査の負担をやわらげる方法のひとつが「鎮静剤」の使用です。
今回は、大腸カメラにおける鎮静剤を使うメリットについて詳しく解説します。検査に不安を抱えている方は、ぜひ参考になさってください。
目次
■鎮静剤ってどんな薬?“眠る麻酔”とはちょっと違います
いわゆる全身麻酔とは異なり、「うとうとと眠い、でも呼びかけには応じられる」状態をつくる方法です。強い不安や痛みの記憶をやわらげ、体の緊張をほどくことで、検査そのものを安全・確実に進めやすくします。
◎「完全に眠るわけじゃない?」意識下鎮静とは
意識下鎮静では、自発呼吸は保たれたまま意識レベルだけを下げます。のどの奥まで管を入れて呼吸を管理する全身麻酔と違い、声かけや軽い刺激で反応できる浅い眠りに近い状態です。
◎点滴で使う薬と、体を見守るモニター管理の話
鎮静薬は腕の点滴から少量ずつ投与し、「効きすぎない・足りなさすぎない」ちょうどよい深さを保ちます。投与中は血圧、脈拍、酸素飽和度などをモニターで連続チェックします。
■鎮静剤を使うと、こんなに変わる!
鎮静を併用すると、多くの方が「思っていたよりずっと楽だった」と感じます。痛みや緊張が抑えられることで、検査の質にも良い影響が生まれます。
◎「痛くない」「怖くない」「恥ずかしくない」を実現
腸を観察する際は、スコープを進めたり腸をふくらませたりする必要があり、どうしても不快感が出やすくなります。
鎮静が入ると体の力みが取れるため、張り感や痛みの感じ方が和らぐ効果が期待できます。恥ずかしさや恐怖心も薄れるため、「気づいたら終わっていた」と感じるかもしれません。
◎見逃しリスクもダウン?検査精度がアップする理由
リラックスして動かずにいてくれることで、医師はより丁寧に腸内を観察することが可能です。腸のしわの奥に隠れた病変を見つけやすくなり、ポリープや初期がんの早期発見にもつながります。結果として、再検査の必要性や見逃しのリスク低減に寄与することがあるのです。
◎次回が怖くなくなる?定期検査のハードルを下げる
一度辛い思いをすると、次の検査に対して強い抵抗感を持つ方もいます。しかし鎮静剤を使って「楽だった」「思っていたよりも平気だった」と感じてもらえれば、次回の検査も前向きに受ける気持ちが持てるようになります。
■注意も必要です。鎮静剤のデメリット
効果的で安全性の高い鎮静剤ですが、使用に際してはいくつかの注意点もあります。
◎当日は車の運転NG!ふらつき・眠気もあるかも
鎮静剤の影響は検査後もしばらく続くため、車や自転車、バイクの運転は禁止されています。また、集中力が必要な仕事や判断が求められる場面も避けるようにしてください。
◎副作用はある?過鎮静やアレルギーへの備え
稀にではありますが、鎮静剤によって呼吸が弱くなる「過鎮静」や、血圧の低下、アレルギー反応が起きる場合もあります。そのため、医師は年齢・体重・持病などを慎重に確認し、適切な薬剤と投与量を調整します。
◎スケジュールに余裕を持って。検査後は少し休もう
検査そのものは20〜30分程度で終了しますが、鎮静剤を使う場合は、検査前後の準備や回復のための時間が必要です。当日はできるだけスケジュールに余裕を持ち、検査後は自宅でゆっくりと過ごすようにしましょう。
■鎮静剤、使う?使わない?迷ったときの判断ポイント
検査を受ける方全員が必ずしも鎮静剤を使うわけではありません。使うべきかどうか迷った場合には、自分の体調や生活スタイルに合わせて考えてみましょう。
◎鎮静をおすすめしたいケース・控えたほうがいいケース
痛みに弱い方、不安が強い方、以前の検査でつらい経験をされた方などは、鎮静剤を使うことで検査がぐっと楽になるでしょう。ただし、当日に車を運転しなければならない方や、授乳中で断乳が難しい方、薬剤アレルギーのある方などは、医師と相談のうえ判断することが大切です。
◎鎮静なしでも楽になる工夫、あります
鎮静剤を使わなくても、大腸内視鏡を快適に受ける工夫はあります。スコープの挿入技術が高い医師による検査や、細径スコープの使用、炭酸ガスによる送気など、痛みをできるだけ抑える取り組みはクリニックによって異なります。不安な方は、無理せず鎮静剤の使用を選択するのもひとつの方法です。
■当院の特徴|“楽に・安心を考慮した”内視鏡
日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医として、患者様の負担を軽減しながら、精度の高い検査を提供することを大切にしています。
◎消化器内視鏡専門医が3名在籍+女性医師による対応も
当院では消化器内視鏡学会専門医が3名在籍し、高度な技術を用いて検査を行っています。女性の患者様には、女性医師による大腸カメラの対応も可能です。デリケートな検査だからこそ、安心してお任せいただける体制を整えています。
◎鎮静剤ありの検査、日帰りポリープ切除も可能です
ご希望の方には鎮静剤を使用した大腸内視鏡検査を提供しています。また、検査中にポリープが見つかった場合は、その場での切除(日帰り手術)にも対応しています。痛みや不安を感じにくい環境で、精密な検査と迅速な処置が可能です。
■「怖い・つらい」大腸内視鏡検査を「なんだ、平気だった」に変えるために
大腸カメラ検査は、不安や痛みによって敬遠されがちな検査ですが、鎮静剤を上手に活用することで、ぐっと受けやすくなります。医師の技術と患者様への配慮が揃えば、「検査=つらいもの」というイメージは大きく変わるかもしれません。
定期的な内視鏡検査は、がんをはじめとする消化器疾患の早期発見・治療にとって非常に重要です。不安な点は遠慮なくご相談ください。安心して検査に臨んでいただければと思います。