
楽しい年末年始で、ふと体重計に乗って「やってしまった」と後悔する。そんな経験は誰にでもあるものです。いわゆる「正月太り」は、単に見かけが変わって服がきつくなるだけの問題だと思っていませんか?
実は、この短期間の生活習慣の変化が、体の中で大きな異変の引き金となっていることがあるのです。今回は、年末年始の過ごし方が体にどのような影響を与えるのか、そして深刻な病気を招かないための対策について解説します。
目次
■年末年始の「正月太り」で生活習慣病に?
年末年始は、休みと解放感から食べる量も飲む量も増えやすい時期です。おせちやご馳走が続いても運動量は減るため、短期間でも体重が増えやすくなります。
数日でいきなり生活習慣病になるわけではありませんが、正月太りが定着すると肥満や動脈硬化、糖尿病のきっかけになることがあります。
◎食べ過ぎ・飲み過ぎが引き金!「糖尿病」のリスクを高める
お正月は、お餅やおせち、スイーツなど糖質の多いものを一度に食べがちです。
早食いや大食いになると、血糖値が急上昇と急降下をくり返す「血糖値スパイク」が起こりやすくなります。これは血管の内側を傷つけ、糖尿病や動脈硬化のリスクを高めると考えられています。
◎数日で内臓脂肪が蓄積? 肥満が招く「動脈硬化」への入り口
摂取カロリーが消費カロリーを大きく上回る状態が続くと、短期間でも内臓脂肪がたまり始めます。内臓脂肪が増えるとインスリンの効きが悪くなり、血糖値や中性脂肪、悪玉コレステロールが上がりやすくなります。
そのままの生活が続けば動脈硬化が進み、心筋梗塞や脳梗塞のリスクも高くなるため注意しましょう。
■おせちやご馳走は「塩分」と「コレステロール」に注意!
おせち料理は保存のために味付けが濃く、塩分と砂糖が多めに使われています。ここに揚げ物や肉料理、寿司、お酒などが重なると、塩分と脂質、コレステロールをいつも以上にとることになります。
高血圧や脂質異常症を指摘されている方は、とくに食べ方に注意が必要です。
◎保存食は味が濃い! 過剰な「塩分」が血圧と血管に与えるダメージ
塩分をとり過ぎると、体は水分をため込んで血液の量が増え、血圧が上がりやすくなります。高血圧が続くと血管の壁が傷つき、動脈硬化や脳卒中につながるかもしれません。
かまぼこや数の子、昆布巻きなどは塩分が多いので、量を控えめにし、しょうゆは「つける程度」にするなど工夫しましょう。
◎美味しい脂にご用心! 血液中の「コレステロール」と中性脂肪の変化
唐揚げやローストビーフ、ステーキ、エビフライなどの脂っこい料理が続くと、血液中の中性脂肪や悪玉コレステロールが増えやすくなります。こうした状態が続くと脂質異常症となり、動脈硬化の進行を早める原因になります。
揚げ物ばかりにせず、焼き魚や煮物、豆料理などを一品加えることで、バランスをとりましょう。
■正月太りと病気を防ぐ! 健康的に年始を過ごすための3つのコツ
正月太りを防ぐコツは、「楽しみを残しつつ少しだけ調整する」ことです。食事・お酒・運動の3つを意識するだけでも、体重や血糖値、コレステロールの急な変化をおさえやすくなります。
◎【食事】食べる順番がカギ!「ベジファースト」で血糖値をコントロール
野菜や海藻、きのこなど食物繊維の多い料理から先に食べる「ベジファースト」は、糖の吸収をゆるやかにし、血糖値スパイクを防ぎやすくする方法です。
サラダやなます、酢の物、おひたしなどを一口目に選び、そのあとでご飯やお餅、肉料理に進むよう意識するとよいでしょう。
◎【飲酒】お酒は適量を守り休肝日を! 肝臓をいたわり脱水を防ぐ
アルコールは肝臓で分解されるため、一度に大量に飲むと大きな負担がかかります。さらに利尿作用で水分が失われ、血液がドロドロになりやすくなります。
お酒と同じかそれ以上の量の水やお茶を一緒に飲み、だらだら飲み続けないことが大切です。週に1〜2日は意識して休肝日を作りましょう。
◎【運動】「寝正月」を回避! こまめな散歩で活動量をキープしよう
「一日中こたつから出なかった」という寝正月は、消費エネルギーを大きく下げてしまいます。食後に15〜20分ほど近所を歩く、初詣は少し遠回りして歩く、エレベーターではなく階段を使うなど、小さな工夫でも立派な運動になります。
激しい運動は必要ありません。毎日少しでも体を動かす習慣が、正月太りと生活習慣病の予防につながります。
■体調の異変や健康診断の数値が気になったら、早めに相談を
年末年始の数日間の食べ過ぎや飲み過ぎだけで、すぐに生活習慣病になるわけではありません。しかし、正月太りがそのまま続けば、肥満や動脈硬化、糖尿病などのリスクは高くなっていきます。
「体重が戻らない」「検診の数値が悪化した」と感じたら、自己判断で放置せず早めに相談してください。年末年始を楽しみつつ、自分の体をいたわる意識を持つことが、将来の健康を守る第一歩です。
