糖尿病の食事制限って何をどこまで? 食べていいもの・だめな食品をわかりやすく紹介|小森内科クリニック|岡崎市の内科・消化器内科

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糖尿病の食事制限って何をどこまで? 食べていいもの・だめな食品をわかりやすく紹介


糖尿病と診断されたとき、多くの人が最初に戸惑うのが「食事制限って、何をどこまで?」という疑問です。糖尿病の食事療法は決して“我慢だけの食事”ではありません。


大切なのは、自分の体に合ったエネルギー量を知り、栄養バランスを考えながら、おいしく・無理なく続けられる工夫をすることです。


今回は、糖尿病と食事に関する基本的な考え方から、控えたい食品、外食・コンビニでの選び方まで、わかりやすく解説します。


■糖尿病の食事制限、何から始める?


糖尿病の食事は“特別食”ではなく、誰にとっても健康的な食べ方を、あなたの体格と生活に合わせて最適化する作業です。まずは「どれだけ(量)」「何を(バランス)」「いつ(食べ方のリズム)」を整えること。

完璧を目指すより、続けられる小さな改善を積み上げましょう。


◎「食べちゃダメ」はもう古い?いまの糖尿病食事療法とは


近年の食事療法は「禁止」よりも「調整」が主役です。主食・主菜・副菜・乳製品・果物を適量で組み合わせ、1日の総エネルギー範囲に収めます。家族と同じ献立でも、主食量や味付け、調理法を少し変えるだけで血糖コントロールは十分に狙えます。


◎血糖値を安定させるカギは“量”と“バランス”にある


血糖は炭水化物量に反応しやすく、脂質やたんぱく質はゆるやかに影響します。だからこそ、主食の量を「決める」、たんぱく質と野菜で満足感と栄養バランスを「足す」、油・砂糖・塩分は「引く」。この足し引きが安定のコツです。


◎まず知っておきたい「食事でコントロールできる3つのポイント」


第一に「適正カロリー」を守ること。

第二に「主食・主菜・副菜の配分」を整えること。

第三に「食べるタイミング」を一定にすることです。


朝・昼・夕を規則正しく、よく噛み、夜食は控える──これだけでも血糖の急激な上下を防ぐ効果期待できます。


■1日にどれくらい食べていい?糖尿病の適正カロリーの考え方


適正カロリーは、身長から求める目標体重に生活強度(デスクワーク中心か、立ち仕事・運動が多いか)を掛けて見積もります。


◎身長と生活スタイルで変わる「あなたの1日エネルギー量」


目標体重(身長[m]×身長[m]×22※高齢者は22〜25目安)に、活動量係数(座位中心25〜30/通勤・家事あり30〜35/力仕事35〜)を掛けます。


例:身長1.60m、座位中心なら目標体重は約56kg、係数25〜30で約1400〜1700kcalが目安です。実際の合併症や体重推移を見ながら微調整します。


◎ごはんもパンもOK!?主食・主菜・副菜の黄金バランス


炭水化物は総エネルギーの40〜60%、脂質は20〜30%、たんぱく質は20%までが目安です。

献立は主食(ごはん・パン・麺)、主菜(魚・肉・卵・大豆)、副菜(野菜・きのこ・海藻)に、乳製品や果物を少量添えると“抜け”が減り、満足感も上がります。


◎「糖質=悪者」ではない?炭水化物の上手なつき合い方


糖質は大切なエネルギー源です。問題は“過剰”と“偏り”になります。「ラーメン+炒飯」「うどん+おにぎり」のような“炭水化物×炭水化物”の重ねは血糖を上げやすいので、主食は1品にして、たんぱく質と野菜でボリュームを作りましょう。


■食べていいもの・だめなもの、どこで線を引く?


「食べてはいけない食材」は基本的にありません。ただし“量と頻度”で線引きします。血圧や腎機能に課題がある場合は、塩分・たんぱく質・カリウムの制限が必要になることもあるため、必ず主治医に確認してください。


◎糖尿病でも“食べていいもの”は意外と多い


主食は適量なら白米もパンもOKです。雑穀・玄米・もち麦など食物繊維が多い主食を選ぶと、食後血糖の上がり方が穏やかになり、腹持ちも向上します。


主菜は魚・鶏・大豆製品を中心に、赤身肉や卵も量を決めましょう。副菜は野菜・きのこ・海藻で“かさ”と“栄養”を確保。果物や乳製品は少量を毎日に散らすのがコツです。


◎控えたほうがいいのはこんな食品


砂糖の多い清涼飲料・菓子、脂質の多い揚げ物・加工肉、塩分の高い漬物・干物・ラーメンスープ、アルコールの飲み過ぎは血糖・脂質・血圧に良くありません。完全禁止ではありませんが、「量を控え、頻度を減らし、味付けは薄めに」が基本姿勢です。


◎要注意!糖尿病でNGになりやすい食べ方・組み合わせ


「主食のおかわりや大盛りが習慣」「夜遅くの間食」「丼・麺の単品で副菜なし」「甘い飲み物+菓子をだらだら」などは血糖の乱高下を招きやすいパターンです。丼や麺にはサラダ・海藻・豆腐を添え、スープや麺つゆは飲み切らない工夫をしましょう。


◎コンビニや外食で迷ったときの選び方


コンビニは「主食(小〜並)+たんぱく質(魚・豆・卵)+サラダ・海藻・きのこ」を基本形にしましょう。ヨーグルトや豆乳を小さく足して満足度を上げるのも有効です。


外食は単品より定食、丼なら小盛+野菜小鉢、麺は野菜多めのものを選び、汁は残してください。栄養成分表示があれば、エネルギー・炭水化物・食塩相当量の3点をチェックしましょう。


■続けられる糖尿病食のコツ


短期の完璧より“中長期に続く心地よさ”が血糖コントロールの近道です。好物を完全に断つのではなく、頻度・量・時間帯を調整して「楽しみ」を残すと、挫折しにくくなります。


◎ストレスなく食事療法を続ける5つのヒント


  • よく噛んでゆっくり食べる

  • 3食を規則的にとる

  • 八分目で止める

  • 夜食を避ける

  • 味付けは“だし・酸味・香辛料”で薄味に感じにくくする


これらの小さな積み重ねが大きな差になります。


◎間食・おやつは「我慢」より「選び方」で変わる


おやつは“量を決めて日中に”摂りましょう。目安は80kcal前後からです。個包装やミニサイズを活用し、食べたら散歩など軽い活動をするようにしましょう。甘い飲料は避け、無糖飲料や豆乳・ヨーグルトなど「たんぱく質を少し含むもの」に寄せると血糖が安定しやすくなります。


◎お酒と上手につき合うためのルール


飲むなら1日アルコール25g程度まで(日本酒1合、ビール中瓶1本が目安)にとどめ、休肝日を儲けましょう。つまみで糖質や脂質をとり過ぎないよう注意し、就寝前の大量飲酒は低血糖リスクにも配慮してください。


■減塩・低脂質・高食物繊維を“おいしく”実践する工夫


減塩は、昆布やかつおのだし、柑橘や酢、香味野菜・スパイスで風味を立て、調味料は「つける」で量を可視化します。


低脂質は、揚げ物より焼く・蒸す・煮るに切り替え、油は小さじで計量し、鶏皮や脂身を外して調理しましょう。


高食物繊維は、主食を玄米・雑穀・もち麦に置き換えつつ、毎食に野菜・きのこ・海藻と豆製品を足して“かさ”と満足感を確保するのがおすすめです。


■「糖尿病の食事」は“量・バランス・続け方”で決まる


糖尿病の食事療法は、特別な禁止よりも、あなたに合ったカロリー設定と主食・主菜・副菜の配分を毎日続けることが要です。


食べていいものは意外にも多く、だめなものも“完全NG”ではなく量と頻度の調整でコントロールしていくことができます。外食やコンビニでも選び方を押さえれば、無理なく血糖管理が可能です。迷ったときは、気軽にご相談ください。


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