
「高血圧は太っている人の病気」というイメージが強いですが、標準体型や痩せ型の方でも高血圧になることがあります。血圧が上がる理由は、体質や環境が複雑に絡み合っているのです。
今回は血圧が上がる仕組みから、肥満との関係、そして「痩せているのになぜ?」という原因について解説します。
目次
■「なぜ高血圧になるの?」血圧が上がる仕組み
血圧とは、心臓から送り出された血液が血管の壁を押す「圧力」のことです。この圧力が決まる仕組みを理解することが、原因を知る第一歩になります。
◎心臓のポンプ機能と血管の硬さが関係している
血圧の仕組みは「ポンプ(心臓)」と「ホース(血管)」の関係に似ています。心臓が血液を押し出す力が強くなったり、流れる血液の量が増えたりすると、ホースの内圧(血圧)は上がります。
つまり、血液量と血管の状態のバランスが崩れたときに、高血圧は引き起こされるのです。血管が硬くなったり狭くなったりして流れが悪くなった場合も、無理やり流そうとして圧力が高まります。
◎日本人に多い「本態性高血圧」とは?
高血圧と診断される人の約90%は「本態性高血圧」です。これは特定の病気が原因ではなく、遺伝的な体質や日々の生活習慣、加齢などが積み重なって発症します。
日本人の高血圧のほとんどがこのタイプで、塩分の摂りすぎや運動不足、ストレスといった小さな要因が少しずつ血管や心臓に負担をかけた結果なのです。
■やっぱり「肥満」は大きな原因! 体の中で何が起きている?
肥満の方が高血圧になりやすいのは事実です。それには脂肪が引き起こす体内の変化が関係しています。
◎インスリンの働きと交感神経への影響
内臓脂肪が増えると、血糖値を下げる「インスリン」というホルモンの効きが悪くなり、体はインスリンを過剰に分泌し始めます。
インスリンには交感神経を刺激し、血管を収縮させる働きがあります。それだけではなく、腎臓での塩分排出を妨げて血液中の水分を増やしてしまう作用もあるため、二重の意味で血圧を上げやすくなるのです。
◎内臓脂肪が出す「血圧を上げる物質」
内臓脂肪は単なるエネルギーの貯蔵庫ではなく、体に影響を与える物質を分泌していることがわかってきました。内臓脂肪が過剰に蓄積すると、血管を収縮させて血圧を上げる物質が脂肪細胞から分泌されます。
つまり、肥満の状態にあるだけで、体の中から血圧を上げる指令が出続けているようなものなのです。
■「肥満じゃない」から安心は間違い! 痩せ型でも高血圧になる4つの理由
太っていなくても健康診断で高血圧を指摘される方は多くいます。そこには日本人の体質や生活習慣ならではの理由が隠されています。
1. 塩分の摂りすぎと「食塩感受性」
日本人の高血圧の原因として深い関わりがあるのが「塩分」です。重要なのが「食塩感受性」という体質です。
日本人の高血圧患者の約半数は、塩分を摂ると血圧が上がりやすい「食塩感受性が高い」タイプだと言われています。この体質の方は、いくら痩せていても塩分を摂りすぎていれば、体内に水分を溜め込んで血圧が高くなってしまいます。
2. 遺伝的要因(家族に高血圧の人がいる)
両親ともに高血圧の場合、その子どもが高血圧になる確率は高くなります。これは病気そのものが遺伝するのではありません。「塩分を排出しにくい腎臓の機能」などの体質を受け継ぐことが多いためです。
もともと血圧が上がりやすい体質を持っている場合、太っていなくても、加齢やわずかな生活習慣の乱れが引き金となって発症することがあります。
3. 喫煙・飲酒や運動不足などの生活習慣
体型に関わらず、血管にダメージを与える習慣も原因となります。タバコは血管を収縮させて一気に血圧を上げますし、毎日の飲酒も血圧上昇の要因のひとつとなります。
また、痩せている方の中には運動習慣がない方もいますが、運動不足で筋肉量が少なく代謝が悪い状態は血管の老化を早めます。血管が硬くなれば、細身であっても高血圧のリスクは高まります。
4. ストレスや性格による自律神経の乱れ
精神的なストレスも血圧に直結します。人はストレスを感じると交感神経が緊張し、血管が収縮して血圧が上がります。職場や家庭で常に強いストレスにさらされていたり、几帳面すぎる性格だったりすると、交感神経が休まる暇がなく高血圧が慢性化してしまいます。
これは体型とは無関係に起こる体の反応です。
■別の病気が隠れていることも?「二次性高血圧」について
生活習慣や体質以外に、別の病気が原因で血圧が上がる「二次性高血圧」というケースもあります。
◎腎臓の病気やホルモン異常が原因の場合
腎臓の働きが悪くなると余分な塩分を排泄できなくなり、高血圧になります。また、ホルモンを作る臓器の異常によって、血圧を上げるホルモンが出すぎてしまう病気も存在します。
これらは血液検査などで発見することが可能です。原因の病気を治療すれば血圧も改善する可能性があります。
◎薬の副作用で血圧が上がることもある
普段飲んでいる痛み止めや、特定の漢方薬(甘草を含むもの)などを長く飲み続けていると、副作用として血圧が上がることがあります。自分では気づきにくいため、お薬手帳を持参して医師や薬剤師に相談することが大切です。
■原因を知ったら次は対策へ!
高血圧の原因は「肥満」だけではなく、塩分、遺伝、ストレスなど多岐にわたります。「痩せているから大丈夫」と過信せず、自分の生活習慣を見直すことが大切です。放置せずに、まずはご相談ください。
具体的な対策や治療法については、以下の記事で詳しく解説しています。ぜひ、あわせてご覧ください。
