血圧の数値、どれくらいが正常か気になったことはありませんか?
健康診断で「少し高めですね」と言われたり、家庭用血圧計で数値を見ても、それが高いのかどうか判断しにくいことがあります。
今回は、血圧の正常値の目安や、高血圧になる原因、さらに放っておくとどうなるのか、その症状についてわかりやすく解説していきます。
目次
■血圧とは何か
血圧とは、心臓がポンプのように血液を押し出すときに、血管の内側にかかる圧力のことです。この圧力によって、酸素や栄養を含んだ血液が全身の臓器や組織に届けられます。
血圧は常に一定ではありません。血圧は体の状態によって日々、時間帯によっても変動します。運動や入浴後には下がり、緊張や寒さなどで上がることもあります。血圧を把握することは、体の状態を知る大切なバロメーターです。
◎血圧の「上」と「下」は何を意味する?
血圧には2つの数値があります。ひとつは「収縮期血圧(上の血圧)」で、心臓が血液を押し出すときの最大の圧力です。
もうひとつは「拡張期血圧(下の血圧)」で、心臓が休んで血液をためているときの最小の圧力を表します。この2つのバランスが保たれていることが、健康の大きな指標となります。
◎年齢とともに血圧は変化する
血圧は年齢によっても変化します。加齢に伴い、血管の柔軟性が失われるため、誰しもある程度の血圧上昇は避けられません。しかし、年齢にかかわらず、日頃から健康的な生活を意識することで、急激な上昇や病気のリスクを抑えることが可能です。
■正常な血圧の数値とは?
血圧には診察室で測る「診察室血圧」と、自宅で測る「家庭血圧」があります。
基準値を超えると「高血圧」が疑われ、さらに高い数値になると軽症・中等症・重症と段階的に分類されることもあります。
◎家庭血圧と診察室血圧の違い
血圧は測る環境によって数値が異なることがあります。たとえば、リラックスした状態で自宅で測る「家庭血圧」は、医療機関で測る「診察室血圧」よりも低く出る傾向があります。
◎正常な血圧の基準と数値
診察室での測定では、上の血圧が140mmHg未満、下の血圧は90mmHg未満が正常とされています。
一方、家庭で測る場合は135/85mmHg未満が目安です。測定環境によって若干の違いがありますが、基準として覚えておくとよいでしょう。
■高血圧とはどんな状態か
高血圧とは、安静にしていても血圧が慢性的に高い状態です。自覚症状がないまま進行し、重篤な病気の原因になることもあります。
◎高血圧と判断される数値の基準
診察室血圧で収縮期血圧が140mmHg以上、または拡張期血圧が90mmHg以上の状態が「高血圧」と診断されます。
家庭での測定では135/85mmHgを超えると要注意です。いずれか片方だけでも基準を超えていれば、高血圧の可能性があります。
◎高血圧には原因によって2つのタイプがある
高血圧は、「本態性高血圧」と「二次性高血圧」に分けられます。日本人の高血圧の大半は本態性高血圧で、明確な病気の原因はなく、生活習慣や遺伝が関係していると考えられています。
一方、二次性高血圧は、腎臓やホルモンの異常など、特定の病気が原因で起こります。
■高血圧が怖い本当の理由
高血圧は、ほとんど自覚症状がないまま進行します。しかし、長く放置することで全身の血管にダメージを与え、さまざまな合併症を引き起こします。
◎“自覚しにくい”のが一番の問題
高血圧は、ほとんどの場合で自覚症状がありません。体が痛むことも、何か苦しさを感じることもなく、気づかないうちに進行します。この“静かなる進行”こそが高血圧のが危険と言われる理由なのです。
「痛くない」「苦しくない」からといって放置してしまうと、血管の内壁に常に強い圧力がかかり、やがて血管は厚く硬くなっていきます。この状態を「動脈硬化」といいます。
◎動脈硬化が高血圧をさらに悪化させる
高血圧と動脈硬化はお互いに進行を助け合ってしまう関係です。血管が硬く、もろくなることで、血流がスムーズに流れなくなり、血圧はさらに上がります。
血管が詰まりやすく、破れやすくなることで、脳出血や心筋梗塞、大動脈瘤、脳梗塞などの重大な病気を引き起こします。高血圧は、このような合併症を引き起こす可能性があるため、「サイレントキラー(静かなる殺し屋)」とも呼ばれているのです。
◎原因の多くは生活習慣に
本態性高血圧症の原因は、複数の生活習慣が関与していると考えられています。
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塩分の摂りすぎ
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野菜・果物の不足
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肥満
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ストレス
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運動不足
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喫煙、飲酒
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自律神経の調節異常
■まずは自分の「血圧」を知ることから
血圧は高くても低くても身体に影響を与えます。大切なのは、自分の血圧がどのくらいなのかを把握し、変化に早めに気づくことです。
健康診断で「血圧が高め」と言われた方、最近数値が気になる方は、まずご自宅でも血圧を測ってみましょう。毎日の血圧を記録しておくことで、自分の体の変化に気づく手がかりになります。気になることがあれば、気軽にご相談ください。