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健診の数値と家庭での記録から高血圧の基準値と受診の目安を知る
高血圧とされる目安は、診察室で測ると140/90mmHg以上、家で測ると135/85mmHg以上です1。 測る場所や時間で数値が揺れると、どの値をもとに考えればよいか迷うものです。この記事では、診察室と家で目安がちがう理由、働く時間がばらばらでも続けやすい測り方と記録のしかた、症状がないまま進む体への影響と受診を考える目安をまとめます。
この記事の要点まとめ
- 高血圧とされる目安は、病院で測ると140/90mmHg以上、家で測ると135/85mmHg以上です。
- 朝と夜に同じような流れで測り、何回か測った数値を1週間ほど書きとめて平均を見ます。
- 家で測った血圧の平均が目安をこえるなら受診を考え、具合が悪くてとても高いときは早めに病院へ相談します。
高血圧の基準値は診察室と家庭で異なる:上と下の血圧と分類の読み方

家庭血圧の基準が診察室より5mmHg低く設定されている理由
家庭血圧の基準値(135/85mmHg以上)は、診察室血圧(140/90mmHg以上)より上下ともに5mmHg低く設定されています2。診察室では慣れない環境や緊張から交感神経が働き、普段より血圧が上がりやすいためです。一方、自宅では落ち着いた状態で測れるため、本来の血圧に近い低めの値が基準となります。近年は医療機関でも、緊張の影響を減らすために自動血圧計で複数回測定する方法が検討されています3。どちらか一方の数値だけで判断せず、両方の値を照らし合わせることが基本です。
上の血圧(収縮期)と下の血圧(拡張期)はどちらか一方が基準を超えれば該当する
診察室で測って上の血圧が140mmHg以上か、下の血圧が90mmHg以上なら、どちらか一方だけでも高血圧と診断されます2。上の血圧(収縮期血圧)は心臓がちぢんで血液を送り出すときの圧、下の血圧(拡張期血圧)は心臓がひろがるときの圧です。 診察室で測った血圧の分けかたは、次のとおりです。
| 分類 | 収縮期血圧(上) | 関係 | 拡張期血圧(下) |
|---|---|---|---|
| 正常血圧 | 120mmHg未満 | かつ | 80mmHg未満 |
| 正常高値血圧 | 120〜129mmHg | かつ | 80mmHg未満 |
| 高値血圧 | 130〜139mmHg | または | 80〜89mmHg |
| Ⅰ度高血圧 | 140〜159mmHg | または | 90〜99mmHg |
| Ⅱ度高血圧 | 160〜179mmHg | または | 100〜109mmHg |
| Ⅲ度高血圧 | 180mmHg以上 | または | 110mmHg以上 |
たとえば職場の健診で「152/96mmHg」だった場合、上も下もⅠ度高血圧の範囲に入ります。もし上が134mmHgでも下が92mmHgなら、下の数値をもとにⅠ度高血圧と判定されます。
健診では高く家庭では低い、またはその逆のとき家庭血圧を重視する考え方
診察室と家庭の数値に差があるときは、日々の生活の中で測る家庭血圧を重視して方針を考えます。健診や診察のときだけ基準を超える状態を「白衣高血圧」と呼びます。反対に、健診では正常範囲でも自宅や早朝に高くなる状態が「仮面高血圧(早朝高血圧を含む)」です。仮面高血圧は健診結果だけでは気づきにくく、家庭での記録を続けて初めて把握できます。
ポイント
高血圧の目安は、病院で測ると140/90mmHg以上、家で測ると135/85mmHg以上です1。健診と家で測った数値がちがうときは、家で続けて測った記録をもとに考えます。
数値が揺れるときの家庭血圧の測り方と記録の残し方
朝は起床後1時間以内、夜は就寝前:勤務が不規則でも時間帯をそろえる工夫
家で測る血圧は、朝と夜の1日2回、できるだけ同じような状態で測るのが基本です。朝は起きてから1時間以内(トイレをすませ、朝ごはんや薬の前)、夜は寝る前に測ります4。 早番の日は出かける支度を始める前に測り、残業で帰りが遅くなった日は、おふろのすぐ後を避けて、寝る前に落ち着いてから測ります。時計の時刻がずれても「起きてすぐ」と「寝る前」という生活の区切りをそろえると、起きたころに血圧が上がりやすい朝の変化も追いやすくなります。
座って1〜2分休んでから測る:姿勢と測定前に避けたい行動
測定するときは背もたれのある椅子に足を組まずに座り、腕帯(カフ)を心臓と同じ高さに合わせてから、1〜2分ほど静かに休んで測定ボタンを押します。出勤を急いで歩いた直後や、測定中の会話は数値を押し上げる要因です。また、測定前の喫煙、コーヒーなどのカフェイン摂取、飲酒、入浴の直後も血圧が変動するため避けてください2。腕帯は厚手のシャツや上着の上から巻かず、素肌か薄手の肌着の上から巻きます。
測り直して下がった値だけを書くのは避けたい:複数回測った値の扱い方
1回目が高いからと何度も測り直し、下がったときの数値だけを手帳に書くのは控えたいやり方です。深呼吸や安静で2回目以降が下がるのは自然な反応ですが、低い値だけを選ぶと普段の血圧が実際より低く見えてしまいます。1回の測定機会につき原則2回測り、2回分の数値すべて(またはその平均値)を記録に残してください。 1回ごとの高い・低いにとらわれず、何日か続けて測った値で傾向を見ます。家で測った血圧は、診察室よりも低い目安(135/85mmHg以上)で判断します。
医療機関に持参しやすい血圧記録の書き方
記録には、日付・測定時刻・上下の血圧・脈拍とあわせて、その日の体調や勤務状況を一言添えておくと診察の手がかりになります。たとえば「早番で睡眠5時間」「残業後」「前日に飲酒」といったメモです。家庭で測った血圧の記録を医療者と共有して管理に活かす仕組みは、周産期の血圧管理などでも研究されています5。手帳への手書きでも血圧計アプリの画面でも構いませんので、選ばずに残した記録をそのまま持参してください。
ポイント
測り直して下がった値だけを選ばないようにしましょう。朝(起きてから1時間以内)と夜(寝る前)に測った数値をそのまま残し、1週間ほどの平均で傾向を見ます。
自覚症状がなくても進む臓器へのリスクと受診判断の目安
脳卒中・心筋梗塞・心不全・慢性腎臓病:高血圧が臓器に与える影響
高血圧は自覚症状がほとんどないまま経過しますが、血管の壁に強い圧が加わり続けると、次第に血管が硬く傷みやすくなります2。その結果、脳出血や脳梗塞といった脳卒中、狭心症や心筋梗塞、心不全、慢性腎臓病などの臓器障害を引き起こす要因となります2。 眼の奥の血管が傷む高血圧網膜症につながることもあります。血圧の上昇には塩分の摂り過ぎ、肥満、飲酒、喫煙、運動不足などの生活習慣や、血縁者の病歴も関わります26。症状がない時期から血管の状態を把握しておくことが、将来の病気への備えになります。
記録を続けながら通常の受診を検討したい数値の目安
健診で140/90mmHg以上を指摘された方や、家庭血圧の5〜7日間の平均が135/85mmHg以上になる方は、記録を続けながら内科・循環器内科への相談を検討してください2。とくに160/100mmHg以上(Ⅱ度高血圧相当)が繰り返し出る場合は、次の健診を待たずに受診の予定を立てる目安になります。なお、糖尿病や慢性腎臓病、心臓や脳の病気がある方、妊娠中の方は、目指す血圧の基準や対応の時期が異なりますので、自己判断で様子を見ずに医師へ相談してください2。
記録を待たずに受診したいサイン:数値だけ高い場合と症状を伴う場合の違い
血圧がふだんよりとても高く、強い症状を伴う場合は高血圧緊急症の可能性があります。激しい頭痛、胸の痛み、息苦しさ、見えにくさ、手足のしびれや麻痺、ろれつが回らないといった症状があれば、すぐに救急を受診してください。 一方、こうした症状がなく数値だけが180/110mmHg前後と高い場合は、まず静かに座って休んでから測り直し、それでも高値が続くなら当日または数日以内に医療機関へ連絡してください。すでに血圧の薬を飲んでいる方は、自己判断で急に量を増やしたり中断したりしないよう注意が必要です。
岡崎市で相談する前に用意したい健診結果と家庭血圧の記録
受診の際は、以下のものを手元にそろえておくと診察時の確認がスムーズです。
- 健診の結果(過去数年分があれば、変化を見るのに役立ちます)
- 1〜2週間分の、家で測った血圧の記録(測った時刻や働いた時間のメモもあわせて)
- いま飲んでいる薬がわかるもの(お薬手帳)やサプリメントの情報
- ご家族がかかった病気(脳卒中や心臓病、高血圧など)と、働き方のメモ
医療機関では、病院と家で測った血圧を見くらべるほか、血液や尿の検査、心電図などで、心臓や腎臓に負担がかかっていないかを調べます。保険で血液検査や心電図などを含む初めての受診をした場合、3割負担で2,000〜6,000円ほどが一般的な目安です。これは一般的な相場であり当院の費用ではありません。実際の費用は医療機関や検査の内容によって変わり、当院の費用は診察のうえでご案内します。
受診するとすぐに薬が始まるのではとためらう患者様もいらっしゃいますが、体調の変化には、仕事の環境や家庭の事情も深く関わっています。当クリニックでは、薬の処方も選択肢としつつ、まず患者様が置かれた生活リズムや働き方の中で変えられる部分を一緒に探し、健診結果への疑問にも一つひとつお答えしてまいります。岡崎市内で健診の血圧指摘や家庭血圧の揺れが気になるときは、まずは1週間分の記録と健診票を用意し、休みの予定と照らし合わせて受診の日取りを検討してみてください。
ポイント
180/120mmHg以上で激しい頭痛や胸痛、麻痺などがあるときは早急な受診が必要です。症状がなくても家庭血圧の平均が135/85mmHg以上なら、記録と健診結果を持って内科へ相談してください2。
よくある質問
Q1. 早急に受診を考えるべき高血圧の数値はどのくらいですか?
A. 診察室で180/110mmHg以上(Ⅲ度高血圧)は、早めの医療相談が勧められる水準です2。とくに180/120mmHg以上で、激しい頭痛、胸痛、息苦しさ、手足の麻痺やろれつが回らないといった症状を伴う場合は、記録を待たずに救急受診を検討してください。
Q2. 日常生活で血圧を下げるにはどうしたらいいですか?
A. 塩分をひかえる(1日6g未満が目標)、野菜や果物をとる、体重をちょうどよく保つ、ウォーキングなどの運動をする、お酒をひかえる、たばこをやめる、よく眠ることが基本です。ただし腎臓の病気などでカリウムをひかえるよう言われている方は、野菜や果物のとり方に気をつける必要があるため、医師にご相談ください。
Q3. 1日のうちで血圧が高くなりやすい時間帯はいつですか?
A. 一般的に、睡眠から目覚める前後から午前中にかけて交感神経が活発になり、血圧が上昇しやすくなります。また、冬の寒い朝や、入浴時の温度差、仕事中や通勤時の緊張・ストレスが重なる時間帯も数値が上がりやすくなります。
Q4. 高血圧のガイドラインの基準値はいくつですか?
A. 大人の高血圧の目安は、診察室で測ると上が140mmHg以上または下が90mmHg以上、家で測ると上が135mmHg以上または下が85mmHg以上です1。正常とされるのは、診察室で120/80mmHg未満(家では115/75mmHg未満)です2。
参考文献
1. 高血圧の診断/家庭血圧の測定と降圧目標 | みんなの健康ラジオ | 一般社団法人 横浜市医師会. https://www.yokohama.kanagawa.med.or.jp/radio/2020/OA_0206-0213.html
2. 厚生労働省. 高血圧(e-ヘルスネット). https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/metabolic/m-05-003
3. Tiglao SM, Meisenheimer ES, Marshall RC et al. Automated office BP measurement: The new standard in HTN screening. The Journal of family practice. 2021. PMID: 34339363. DOI: 10.12788/jfp.0188
4. 心臓病Q&A | 独立行政法人 労働者健康安全機構 関西ろうさい病院循環器内科. https://www.kansaih.johas.go.jp/junkankinaika/heart-disease-qa
5. Rajkumar T, Hennessy A, Makris A. Remote blood pressure monitoring in women at risk of or with hypertensive disorders of pregnancy: A systematic review and meta-analysis. International journal of gynaecology and obstetrics. 2025. PMID: 39611763. DOI: 10.1002/ijgo.16059
6. 厚生労働省. 生活習慣病とは?(e-ヘルスネット). https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/metabolic/m-05-001
1980年 自治医科大学卒業
名古屋第二赤十字病院にて臨床研修
1982年 東栄病院内科
1983年 国保作手村診療所所長
1986年 市立岡崎病院消化器科
1987年 市立岡崎病院消化器科副部長
1989年 市立岡崎病院消化器科部長
1990年 新城市民病院消化器内科医長
1991年 市立岡崎病院消化器科部長
1992年 小森内科クリニック開院
2010年 岡崎市医師会副会長
2014年 岡崎市医師会会長
2018年 岡崎市医師会監事
2020年 岡崎内科医会会長
2020年 愛知県内科医会理事
2022年 岡崎市医師会顧問
日本内科学会総合内科専門医
日本消化器病学会消化器病専門医
日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医
日本医師会認定産業医
【所属学会】
日本内科学会
日本消化器病学会
日本消化器内視鏡学会
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