胃がんの主な原因はピロリ菌? ピロリ菌感染のリスクと早期発見の大切さ|小森内科クリニック|岡崎市の内科・消化器内科

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胃がんの主な原因はピロリ菌? ピロリ菌感染のリスクと早期発見の大切さ


日本において、胃がんは現在でもがん死亡数の上位を占める病気です。国立がん研究センターの2024年統計によると、胃がんによる死亡数は男女合わせて3万7千人を超え、がん死亡数全体で第4位となっています。


※最新がん統計:[国立がん研究センター がん統計]


胃がんの発生には、胃の中にすみつく「ピロリ菌」という細菌が深く関わっています。胃がんから命を守るためには、ピロリ菌について正しく理解し、必要に応じて検査や除菌治療を受けることが大切です。


ただし、除菌後も胃がんのリスクがゼロになるわけではないため、定期的な胃がん検診や胃内視鏡検査で早期発見に努めましょう。


■胃がんの原因とは?ピロリ菌や生活習慣との関係


胃がんの発生には、ピロリ菌感染、喫煙、食塩・高塩分食品の摂取などが関係しています。


なかでもピロリ菌感染は、胃がんの重要な危険因子のひとつです。感染によって胃の粘膜に慢性的な炎症が続くと、萎縮性胃炎などを経て、胃がんが発生しやすい状態につながることがあります。


感染による炎症が長く続くと胃粘膜が痩せ細る萎縮性胃炎となり、そこから胃がんが発生しやすくなる悪循環が生まれます。


◎医療が進んでも胃がんが上位にいる理由


医療が進歩した現代でも、男性ではがん死亡数の第3位、女性では第5位と、胃がんは身近な病気です。決して人ごとではないからこそ、自分の胃のリスクを知り、予防と対策をしっかり行うことが求められます。


◎胃酸の中で生き抜く細菌、ピロリ菌「とは」


正式名称「ヘリコバクター・ピロリ」は、人間の胃の中に棲みつく細菌です。自らアンモニアを作り胃酸を中和して身を守ります。


国立がん研究センターの調査では、ピロリ菌感染者は未感染者に比べ、胃がんリスクが約5倍、隠れた感染者も含めると約10倍も高まることがわかっています。


■「痛くないから大丈夫」とは限らない?見逃しやすい胃の「症状」


ピロリ菌に感染して胃炎が起きていても、普段はほとんど自覚症状がないケースが少なくありません。症状がないからと胃が健康だと言い切れないのが怖いところです。


進行してから異変に気づくことも多いため、わずかなサインを見逃さないことが重要です。


◎早期の胃がんは自覚症状が少ないことも


早期の胃がんの段階では、痛みや違和感を覚えないことが大半です。「自分は健康だ」と思っている間に病気が進行してしまい、発見が遅れることがあります。


◎胸やけや黒い便がある場合は早めの受診を


日常的な胃の痛み、胸やけ、吐き気、食欲不振には注意が必要です。進行すると貧血による立ちくらみ、胃からの出血による黒い便、急激な体重減少などがみられます。


胃の痛みや不快感、胸やけ、吐き気、食欲不振が続く場合や、黒い便、貧血、体重減少などがある場合は、検診を待たずに内科や消化器内科などを受診しましょう。


■胃がんだけじゃない!ピロリ菌が引き起こすトラブル


ピロリ菌が引き起こす病気は、決して胃がんだけではありません。胃の中で長期間炎症を起こし続けるため、さまざまな消化器トラブルの引き金となります。


◎繰り返す胃の痛みの原因になることも


慢性胃炎をはじめ、つらい痛みを伴う胃潰瘍や十二指腸潰瘍の主な原因になることも。粘膜が深く傷つく潰瘍は、放置すると出血したり、最悪の場合は胃や腸に穴が開いたりする危険性もあります。


◎貧血や胃もたれにピロリ菌が関係することも


  • 胃潰瘍・十二指腸潰瘍

  • 胃MALTリンパ腫

  • 免疫性血小板減少症

  • 鉄欠乏性貧血

  • 機能性ディスペプシア


ピロリ菌はこれらの疾患との関連も指摘されています。胃の不調が続く場合や、過去に胃炎・潰瘍を指摘されたことがある場合は、ピロリ菌感染の有無を確認することも大切です。


■息を吐くだけでわかる?ピロリ菌の「検査」と除菌治療


感染を調べる検査には、採血や尿による抗体検査、便中抗原検査、内視鏡(胃カメラ)で直接粘膜を採取して調べるものなど、いくつか種類があります。


◎「もしかして私も?」検査を相談したい方のチェックポイント


  • 過去に胃炎や潰瘍を指摘された方

  • 家族に胃がんがいる方

  • 胃もたれが続く方

  • 健康診断で萎縮性胃炎を指摘された方


一度ピロリ菌検査について医療機関へ相談し、感染の有無を確認しておくと安心です。


◎体への負担が少ない「尿素呼気試験」


ピロリ菌検査のひとつに、体への負担が少ない「尿素呼気試験」があります。薬を服用した前後の呼気を調べる検査で、非侵襲的で簡便なうえ、感度・特異度が高い検査として用いられています。除菌治療後の判定にも有用です。


特殊な薬を飲んで息を吐き出し、呼気成分を分析するだけで判定できるため、負担が少なく、除菌成功の最終確認にも使われています。


◎除菌治療で胃がんリスクの低下が期待できます


ピロリ菌が見つかった場合は、内服薬による除菌治療を行います。除菌に成功すれば、胃がんの発生リスク低下が期待できます。陽性であればしっかりと医師と相談し、治療を進めることが第一歩です。


■除菌後も油断禁物!胃を守るために「胃カメラ」を


除菌に成功すれば完全に安心と思われがちですが、注意点があります。過去の炎症によって傷んだ胃の粘膜から、時間を経てがんが発生する可能性が残されているためです。


◎ピロリ菌が消えても「過去のダメージ」は残る


除菌をした後も胃がんリスクは完全にゼロにはなりません。そのため、ピロリ菌を除菌した後も決して油断せず、定期的に胃の検査を受け続けることが、胃がんの早期発見につながります。


◎症状が出る前に!50歳からの定期的ながん検診を


国のがん検診指針では、50歳以上の方は2年に1回、胃部X線検査または胃内視鏡検査を受けることが推奨されています。自覚症状がないうちから定期検診を受け、胃がんを早期発見しましょう。


胃の痛み、不快感、食欲不振、食事がつかえる感じ、黒い便などの症状がある場合は、次の検診を待たずに医療機関を受診することをおすすめします。まずは、ご相談ください。


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